コラム

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        1. 業務改善活動は日々のコミュニケーションから始まる。

業務改善活動は日々のコミュニケーションから始まる。

「最終的には、人の意識、そして日々のコミュニケーションですね」

私の講義を受けた人がそろって口にされる感想です。講義の冒頭、受講者に「業務改善とは何かご存知でしょうか」と尋ねると、何を今更、わかってますよ、という顔で「ムリ・ムダ・ムラを無くし、業務を効率化することですよね…」と返答される方は多いです。

ではなぜ業務改善活動が職場でうまくいかないことが多いのでしょうか。

それは業務改善活動の本質を正しく理解していないからです。業務改善は組織活動そのものであり、持続的に行われるものです。特別にやる、時々やる、すごいと評価されるためにやるものではありません。多くの業界では改善発表大会なるものが開催されていますが、その発表のネタ作りとしてというのは論外です。「発表資料作りに必要以上の残業時間を費やしている」という笑えない話も私は多く聞いています。

まず、ムリ、ムダ、ムラについて職場内の言葉の理解にバラツキがあります。ムダを省くことに異論を唱える人はまずいないでしょう。しかし、意識や活動に差がつくのは、ムダの理解にバラツキがあるからです。

ちなみに順番も重要です。最初にムリがあり、ムリの蓄積がムラに、ムラの蓄積がムダになります。部下に能力以上の仕事をさせる、すなわちムリな仕事をさせると、仕事の出来具合にムラが生じます。それらのムラが結果として時間のムダ、コストのムダになります。

すなわち、業務改善活動はムリ、ムダ、ムラといった言葉の理解と、それらを無くす意義を職場全体が受け入れることから始まります。活動が持続的に行われるためには日々のコミュニケーションが大切です。制度の押し付けやメールの一斉配信では定着しません。改善意識に火をつけるのが、上司の日々の声かけや、部下へのさりげない仕草です。部下に視線を配ったり、相槌を打ったり、やさしく肩を叩いてあげたりといった、部下の存在や行動を認める行為のことです。視線を合わせない、時々しか声をかけない上司に部下が心を開くでしょうか、大事なことを相談してくるでしょうか。

また、改善活動は効率化だけが目的ではありません。一人ひとりが楽になるためなのです。「忙しくてそんな時間はない」と言う人もいますが、何度も同じミスをし続けたとき、結局どちらが楽になるのでしょうか。そのような「忙しくて…」とか「時間がない…」といった気持ちを、まずは“改善”していきましょう。