コラム

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        1. 仕事の速さは、能力ではなく考え方で決まる

仕事の速さは、能力ではなく考え方で決まる

一般に、「仕事が速い=仕事ができる」と言われます。ところが、よく考えてみるとこれは不思議なことです。なぜなら、仕事の質が度外視されているからです。もちろん最低限の質が確保されていることが前提ですが、「仕事が速い=仕事ができる」という式は仕事のスピードが速ければ多少質が犠牲になっても許されることを示唆しています。
例えば昼休みにレストランに行ったとして、注文をしてから30分たっても料理がこなければ、味に関係なく次回からそのレストランに入らない人が多いでしょう。
仕事でも同様で、どんなに質の高い仕事をしていたとしても、締め切りを過ぎた仕事は評価されません。
ここからわかることは、「仕事のクオリティ=仕事の質+仕事の速さ」だということです。「仕事の質」とは、まさに能力が問われるところで、ともすると才能が必要かもしれません。しかし、「仕事の速さ」を決めるのは能力や才能ではなく、優先順位付けです。
A君とB君という能力が同じ2人の若手社員がいるとします。2人は、3ヶ月後にあるイベントの告知ビラ案を出すよう指示されました。期限は1週間です。A君は、指示を受けた翌日に案を上司に提出しました。上司からは、「うん。いいね」という言葉をもらえました。一方B君は、緊急で対応すべき仕事がたまっていたため、6日後に案を提出しましたが、「うーん。ちょっといまいちだな」と上司に言われてしまいました。納得がいかないB君は、A君に案を見せてもらいました。すると、使用した写真や構成は少し違っていましたが、2つの案にほとんど違いがなかったのです。B君は余計に納得がいかなくなり、「上司はA君をえこひいきしている」と愚痴をこぼしました。
なぜA君とB君の評価が異なってしまったのでしょう?答えは明らかですよね。B君は、遅く出した分プラスアルファの成果を求められ、能力が問われるフィールドで勝負をしてしまったのです。
A君とB君の違いは、いつ仕事に取り組み、いつ提出したかということだけです。つまり、優先順位――考え方――を変えるだけで、「仕事が速い=仕事ができる」という評価を手に入れることができます。能力を身に付けるには、時間がかかります。しかし、考え方を変えるのは一瞬です。仕事の速さを求めることは、すべてのビジネスパーソンの合理的生存戦略なのです。